2011年11月18日金曜日

聴解自律学習サポート

あるクラスで、「自律学習」サポートを始めた。サポートと言っても、「自律学習」をすることは学生には強制してあるので、サポートというのは変な気もするのだが、他に言い方も思い浮かばないのでとりあえずそう言っておくことにする。

そのクラスは口頭コミュニケーションのクラスで、自律学習は、何か自分で「聞く」ことが課題である。事前に聴解リソースを紹介するプリントを配り(これは前にも書いた「聴解のリソースを増やすには?」も参考にさせていただいた。)、その中からでもいいし、それ以外に自分がやりたいことを選んでもよく、とにかく、自分で何か聞くものを決め、学習計画を立て、それにそって学習をしていく(ということを強制する)ものだ。今は、中間テストが終わった直後で、期末にその学習課題にもとづきテストを行い、それが成績にも反映される。

昨年、同じようなことをK先生がなさったが、その時は学生はほぼ同じリソース(ネット上にある旧日本語能力試験2級用の聴解問題)を使い、すでに2級に合格している学生だけ、自分で1級用の教材を選びそれで学習していたということだった。自分で学習計画を立てるというのは、学生にとっては難しいことだろう。今回の私のクラスでも、聴解のリソースのプリントを作ったものの、ほぼみんな2級の問題をやるのではないかと予測していた。

先週の授業で、学生が自分の学習計画を書くためのプリントを配り、説明をした後、しばらく時間をあげて考えてもらった。プリントに書きこむ項目は↓。
① 現状(今、1日、或いは1週間にどのぐらい日本語を聞いていますか。)
② 現在の問題点、或いは、希望
③ 聴解に使用するもの(リソース)
④ 練習内容(そのリソースを使って何をするか)
⑤ 練習予定(必ず、「数字」を入れて書いてください。)
⑥ 練習の記録の方法
⑦ 今学期末までの目標
⑧ テストの内容

何人か学生が書き始めていたので、見てみると、K先生の時とは違い、2級の問題を書いている人がいない。逆にあったのは「日本のドラマ」「歌」、台湾で出版されている日本語学習用の雑誌の付録のCDを書いている学生もいた。

日本のドラマを選ぶ学生はいるかも知れないと思っていたが、一応リソースを紹介したプリントで「中国語字幕つきドラマを使うのはすすめない」と書いておいた。日本のドラマと書いた学生には、その場でもそのことを話し、説明した。もちろん、日本の番組を見てうまく学習する学生もいるとは思うが、そういう学生はただ見るだけではなく、見ながら何かをしているのである。(以前聞いたものだと、日本のコントを見てそれを友だちと再現している学生がいた。そこまでできればすごいものだと思う。)私が思う、学生が陥りやすいいまいちパターンは、字幕付きで日本のドラマをただ見るだけで学習した気になってしまうというものである。案の定、書いている学生の中に、使うリソース「日本のドラマ」、練習内容「聞く」、それだけしか書いていないものがあった。「日本のドラマって何見るの?」「聞いてどうするの?」と言うと、「えー、よくみんなドラマ見ながら日本語勉強するって言うじゃん。」のような答え。

その他、学生に思わず突っ込んでしまった記述。「できるだけ毎日3時間聞きたい。」元は中国語で書いてあったのだが、「聞きたい[希望]」「できるだけ[盡量]」という言い方はしない!っていうか、毎日3時間はどう考えても無理でしょう、と言ったら苦笑していた。その学生には悪いが、他の学生にもこういう書き方はしないように、「できるだけ毎日3時間」という壮大な目標をたてるより、「1日5分、毎日、絶対」のほうがいいと話した。

この計画書、提出は来週。来週の授業でもう一度調整するが、最終的にどんなものになるのだろうか。結局は、去年と同じで2級の練習が並ぶのか、それとも種々雑多なものが並ぶのか、楽しみだ。そして、どうサポートするのか、考えないと…。

【関連記事】
聴解自律学習サポート2 練習計画書の提出
聴解自律学習サポート3 ドラマからオーディオドラマへ
聴解自律学習サポート4 学生の声(中間報告から)
聴解自律学習サポート5 期末報告から

0 件のコメント:

コメントを投稿